看護補助者採用への提案:外国人補助者採用の実際を聞く(全2回)◆第2回 「ここでずっと働きたい!」を引き出すための教育と受け入れ体制

現在、9名のベトナム人を看護補助者として採用されている社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病の看護副部長、髙林雅子様に、外国人採用の実際について伺いました。
看護補助者不足が発端となった外国人採用によって、思わぬ良い影響もあるようです。

第2回目の今回は、「ここでずっと働きたい!」を引き出すための教育と受け入れ体制です。働いている人たちが今考えていることも教えていただきました。

お話を伺った方:
社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 看護副部長 髙林雅子 様

◎社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 
所在地:大阪府高槻市
病院、老人保健施設、老人福祉施設をグループで運営
社会医療法人祐生会と社会福祉法人みどりヶ丘が連携した充実のサポートシステムで入院から在宅までをトータルにサポートしている

第2回 「ここでずっと働きたい!」を引き出すための教育と受け入れ体制

Q 看護補助者としての教育はどのようにしていますか?

入職時に必ず補助者研修を受けてもらいます。この研修の内容は日本人と一緒で、施設基準に基づいて一律で実施します。
現場では、日本人の補助者と一緒に働きながら教えるのが基本です。やってみるのが一番なので、実践を重視しています。

テキストは、さすがに日本人と同じものだと難しいので、病院独自の看護補助者マニュアルや動画を用意しています。簡易的なものなので、これから充実させていく予定です。

Q 日々の指導はどのようにしていますか?

仕事そのものについては、できることを細かく評価するというよりは、本当に日々のふりかえりですね。困ったことがないか声をかけると、その都度「難しいです」「もっとやりたいです」と自分から言ってくれるので、できる仕事をしてもらっています。
もちろん個人差はあるので、職場に慣れるまでは間接業務からスタートしたりして、徐々にレベルを上げていきます。今では問題なく夜勤に入っている方もいます。

日本語の面でもわからないことはいつでも聞いてくれるので、あえて時間をとっての教育ということはあまりしていないです。
ですが、働いて半年になる方で、「もっと日本語スキルをあげないと仕事ができない」と自分で気づいて、自費で夜間の学校に通っている人がいます。すごいなと思って感動しました。

Q 患者さんとの関わりで困るようなことはありますか?

患者さんが介助者を選ぶ場面はゼロではないので、そういう場合は配慮して、別の人が代わりに援助することはありますね。でも、外国人だからといって、インシデントが多いということはないです。言葉がわからなくてごはんを配り間違えるなどのミスはあるかなと思っていましたが、実際には起こっていないです。

Q 外国人とともに働くうえで、職場として気を付けておられることはありますか?

各部署での配慮はもちろんしてくれていると思いますが、もともと、法人の組織風土がとてもあたたかく、和気あいあいとしていて、上席に対しても話しやすい雰囲気があります。
あとは自分が採用した責任もあるので、私から本人への声掛けを心掛け、病棟師長との情報共有は欠かさないようにしています。関係性づくりがやはり重要ですよね。

Q 外国人の方々は、実際に働いてみてどう考えているでしょうか?

今回のインタビューをきっかけに、外国人看護補助者本人たちへもインタビューをしたんです。「今の仕事はどう?」と聞くと、「まだまだ勉強が足りません、患者さんのために活かしたいからもっと学びたい」と言う人がいました。
「もっと日本のことを知りたい」「介護福祉士の資格を取りたい」「いつか親の介護をするのに役立っている」という意見もあり、簡単に選んだのではなく、目的意識をもって仕事を決めていることに感銘を受けました。

苦労したことについて聞くと、「コミュニケーション力がないから、患者さんに迷惑かけていないかと思う」と言う人がいて、そんなふうに真剣に考えているのかと本当に嬉しくなりました。
また、「医療のこと(褥瘡予防、患者さんに負担をかけない方法など)がよくわかった」という答えもありました。

これから来る後輩へのメッセージとして「患者さんには優しく接してあげるように」「笑顔でゆっくりかかわってあげるように」と言ってくれて、涙が出そうになるほど感激しました。

タスクシェア・タスクシフトが進むなか、こういう方たちと働けてよかったと思います。採用にあたって苦労していた人事課にもこのことを伝えると、やりがいにつながったみたいです。

Q これから受け入れを考えている施設へのアドバイスをお願いします

採用にあたっては、いろいろな職歴の方がいますが、これまでどんな仕事をしていたかにはこだわらないようにしています。経験者であることを基準にしないということですね。

また、在留資格  日本で活動するための資格ビザ)によって、働き方、雇い方が違うので、それぞれの制度をきちんと理解することも大事です。自分の病院に合った方法をしっかり決めておくことが必要です。

紹介業者  外国人スタッフの人材紹介会社 )の見極めも大事ですね。レスポンスが良くて、こちらの意図をくみとってくれて、ビジョンが合うところを選んだ方がいいです。でないと、自分の法人に合う人を紹介してもらえません。どこでもいいというわけではなくて、採用担当者と紹介業者との関係がしっかりできてから紹介してもらうのがいいと思います。

採用担当者にとっては、先ほどご紹介したように「ここで働いてよかった」と言ってくれるのが何より嬉しいです。良い関係性で働けているので、あの時やってみて良かったなと思っています。

▼メディカ出版 外国人材紹介・教育支援サービス
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