看護補助者採用への提案:外国人補助者採用の実際を聞く(全2回)◆第1回 面接ではここを見る! 外国人看護補助者 採用のコツ

現在、9名のベトナム人を看護補助者として採用されている社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院の看護副部長・髙林雅子様に、外国人採用の実際について伺いました。
看護補助者不足が発端となった外国人採用によって、想像しなかった良い影響も起こっているようです。

第1回 面接ではここを見る! 外国人看護補助者 採用のコツ
第2回 「ここでずっと働きたい!」を引き出すための教育と受け入れ体制
の2回に分けてお届けします。

お話を伺った方:
社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 看護副部長 髙林雅子 様

◎社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 
所在地:大阪府高槻市
病院、老人保健施設、老人福祉施設をグループで運営
社会医療法人祐生会と社会福祉法人みどりヶ丘が連携した充実のサポートシステムで入院から在宅までをトータルにサポートしている

第1回 面接ではここを見る! 外国人看護補助者 採用のコツ

Q 外国人を採用しようと考えたきっかけは何ですか?

看護補助者は介護福祉士を目指して介護系に行く人もいるので、 流出が多かったんです。
そんな中、時代の流れもあるので、外国人の採用を検討してみては? との相談が人事課からあり、面接してみたところ、とても良い方で。
担当者がいろんな業者と会って、慎重に選定をしていたようです。そういうご縁もあり、今となってはタイミングもあったかなと思います。

Q 採用している国、人数、採用条件について教えてください。

現在はベトナム人が9名です。過去にはミャンマー人もいました。あえて国籍を限定しているわけではないですが、たまたまベトナムの方だけが残りました。
短い人で半年、長い人で2年半ぐらい働いてくれています。

条件としては、ある程度の意思疎通ができないと医療事故につながりかねないので、JLPT N3以上 (日常会話がある程度スムーズ) の方を基準にしています。語学力そのものというよりは、安全確保が大事なので、きちんとコミュニケーションがはかれそうかどうかを重視しています。

Q 面接時に、言葉以外で重視していることは何ですか?

安全ばかりを重視するのではなく、やはり人柄を見るようにしています。
採用面接では、通訳は入れず、日本語で会話してもらっています。
履歴書の内容を中心に、1人あたり2~30分くらいお話しています。
あいづちや、話をするときの姿勢、笑顔はもちろんですが、介護の仕事を選んだ理由がはっきりしていて、将来の夢があって、熱意が伝わる人はいいなと思います。

一方で、これまでいろんな仕事をしてきたが、メンタルが折れて辞めましたとはっきりおっしゃる方もおられます。お国柄もあってか、正直に言ってくれるのはありがたいのですが、看護補助の仕事は少し難しいかもね、と話をします。

あとは健康状態や、シフトに柔軟に対応できるかなどをヒアリングしています。

Q 採用のプロセスを教えてください。

何人かを一度に面接しているわけではなく、紹介されたタイミングで一人ずつ検討しています。

① 外国人スタッフの人材業者から紹介された方を、人事課が施設基準にあわせて振り分け調整
② 振り分け先の看護部長、副看護部長で面接をして合否決定
③ 最終的に法人から許可を得る

という流れです。状況によっては途中でご辞退いただく場合もあります。
以前は対面もありましたが、コロナ禍以降、今はほとんどオンライン面接です。

Q 採用した方の在留資格 (日本で活動するためのビザ) はどのような形でしょうか?

最初に受け入れた人は派遣で、留学生からのアルバイトからです。介護とはまったく違う領域(整備)の学生ですが、もう2年働いてくれていて、この仕事は楽しい、好きだと言ってくれますね。将来は自動車整備士になるようですが(笑)。

最近は、特定技能 (人材不足解消のための就労ビザ)の人が中心ですね。皆さん、将来的には介護福祉士の資格をとって永住を目指している方ばかりです。

Q はじめての受け入れにあたり、準備したことを教えてください。

看護補助者としての研修は日本人と同じ内容になるので、最低限の接遇、安全、感染、倫理などですが、日本の文化をどうやって伝えたらいいかは考えました。
最初は現場スタッフもみな緊張していたので、どうやって教えればうまく伝わるか、日本の病院の風土にうまくなじんでくれるか、いろいろ話し合ってマニュアル作りも試行錯誤しました。
今ではまったく抵抗感がなくなり、外国人が来るのも当たり前で「ああ、そうなんですね」ぐらいの感じです(笑)。

うちの場合は、最初は短時間で留学生に働いてもらい、慣れてきたタイミングで特定技能に切り替えたのがよかったと思います。
それぞれの国で言語が違うので、国籍がひとつに絞られたことも、結果的にはよかったかなと思います。

Q 外国人と一緒に働きはじめて、苦労したことはありますか?

苦労とは違うかもしれませんが、日本の上下関係とは違って、ベトナムの方は目上の人に対しても「大丈夫?」などと気さくに声かけするので、最初は独特だなと思ったこともあります。でも、本当に純粋な優しさを感じるので、まったく嫌な感じはしないですよ。
仕事に対してもまじめで、本当に学ぶ姿勢があります。自分から「やらせてほしい」と言ってくれるので、困ることはないですね。

そんなことから、思ったよりも違和感なく現場で受け入れられたと思います。
また、日本人同士がちょっとギスギスしているようなことがあっても、彼らの存在が緩和してくれることもあります。ある意味クッション役というか、いてくれるだけで和らぐことがあると思います。

Q これからも採用していく予定でしょうか?

採用スパン、日本人との比率など、具体的な数字については特に決まっていません。柔軟性のある法人なので、ある程度は人事課、看護部側の裁量で決めています。
人数目標というよりは、まずは定着してもらうこと。これからまた外国人が入ってきた時に、指導してくれるリーダー格の人を着実に育成していけるように、今は土壌づくりの段階ですね。

◇第2回のインタビュー 「ここでずっと働きたい!」を引き出すための教育と受け入れ体制は6月23日ご案内予定です。

▼メディカ出版 外国人材紹介・教育支援サービス
https://intl.medica.co.jp/
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