専門集団をリードする意識と覚悟そして決断

 早くも3 回目となり私のコラムはこれが最終回となります。さて、私はチームスポーツと医療マネジメントは共通点も多いと感じています。専門性の高い集団が集まっている点と、目標がはっきりとしている点です。専門家が集まると難しいことが多々あります。リーダーが全分野の専門知識を持っていればマネジメントしやすいのですが、専門分野が多岐にわたり高度化していると、自分よりもプロフェッショナルな人材をマネジメントすることになります。「わかっていないくせに」とか「できない人に偉そうに言われたくない」というのが反発する人の本音でしょう。バスケットボールチームに選手やコーチ、トレーナー、マネジャー、医師など、多くの専門家がいるように、医療マネジメントでも医師、看護師、事務方を含め、多くのプロフェッショナルが関係します。また、バスケットボールチームの目標は勝利して優勝することであり、医療マネジメントの目標は患者への最善の治療になるのでしょう。
 リーダーはこの目標に対する責任者です。目標に対して誰よりも執着し、成功させるためにあらゆる手段を講じて取り組みます。過去の成功経験や自我にこだわらず、現状を冷静に分析して、専門性に最大限の敬意を払いながらも「要求するところ」と「任せるところ」を瞬時に判断することが必要です。プロスポーツにおいて、つまりバスケットボールでは試合は待ってくれません。同様に医療現場でも患者は待ってはくれないと思います。昨年度、開幕戦直前に大阪エヴェッサの監督が悪性リンパ腫で長期療養をすることになりました。新しい監督を招聘しようか悩みましたが、助監督を監督代行とし、療養中の監督を含めてこのチームで闘うと決めました。前半戦は結果が出ず苦労しましたが、コーチ陣と選手を信じた結果、強い連帯意識が生まれ、後半から見事に巻き返してチームとして初めてのチャンピオンシップ(年間優勝チームを決めるトーナメント)進出を決めました。
 リーダーは覚悟を持ち決断していくことが必要です。厳しい判断をしなければいけないことも多々ありますが、あとで仲間や関係者からよかったと思ってもらえるようになれば幸せかなあと思います。リーダーは孤独で苦労も多いですが、うまくいったときの喜びも大きいです。一緒に頑張っていきましょう。

阿部達也(あべ・たつや)
大阪エヴェッサGM 兼 株式会社ヘルステック研究所代表取締役。
京都大学在学中に関西選手権大会得点王2 回、関西選抜主将。bjリーグ専務取締役を経て2019 年からプロバスケットボールB1 の編成強化部長(GM)。医療・健康系の京大発スタートアップの代表も兼務。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2021月9号
https://store.medica.co.jp/item/130212109
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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