リーダーはリーダーシップを手放せ

前回はリーダー像の変化についてお話ししました。
時代の流れとともに、カリスマ性を持ち強いリーダーシップを発揮する『支配型リーダー』から、部下に寄り添い、部下の気持ちを理解しながら、部下の自立を促していく『共感型リーダー』が求められるケースが多くなっています。

新型コロナウイルスをはじめさまざまな要因により混沌としている現代、これまでのように強いリーダーシップによる指示命令に従うのではなく、その場その場で状況を的確に分析、判断し、実行する、現場でのリーダーシップが求められています。そのために、リーダーはリーダーシップを手放し、現場にゆだねる必要があります。
しかし、それは責任を放棄するということではありません。昔も今も部下を守り、責任を持つことはリーダーにとって最も重要なことだからです。

では、どのようにすれば安心して現場にリーダーシップを委ねることができるのでしょうか?
大切なことは、リーダーシップを委ねながらも、部下を決して一人ぼっちにはせず、しっかりと見守ること、そして、いざというときには手を差し伸べ、支えることです。
また、そうするためには日頃から部下とのコミュニケーションを図ることも大切です。部下の意見を傾聴しながら、個性や長所を見出していくことで、適切なサポートが可能となります。

そこでおすすめしているのが、効果的な1to1 ミーティングです。
このミーティングの主役はあくまで部下です。仕事の悩み、問題解決も大切ですが、上司からの一方的な解決策の提示、指示ではなく、部下自身が解決策を見出せるように導くことが大切です。
また、仕事以外のライフスタイルや将来的なビジョンなど、部下自身の考えを引き出すような、双方向のコミュニケーションを意識してみてください。 

実際、私のクライアント企業でも、各々が現場でリーダーシップを発揮していく中で、飛躍的に成長していく様子をたくさん見てきました。そして各々の成長がチーム全体の成長につながり、困難や障壁を自発的に突破できるブレイクスルー型のチームに生まれ変わっていくきっかけとなります。
リーダーは是非、勇気を持って、リーダーシップを現場に委ねてみてください。

久保美裕(くぼ・よしひろ)
一般社団法人ブレイクスルーバンク 常務理事/絆 代表。成功事例を押し付けるコンサルではなく、各企業の持っている潜在能力を引き出すコーチングをベースに、医療機関、ホテル、流通、飲食チェーンなど業種業態を問わず研修を実施している。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2021月11号
https://store.medica.co.jp/item/130212111
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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