ストレスとの上手な向き合い方
◇宇都由美子(鹿児島大学病院 医療情報部 特任教授・部長)

●自分を元気にする習慣を持つ
 私の生活は、晩酌の習慣があるために、仕事は朝方になります。お酒はビール党で500mlの缶を1~2本、ほぼ毎晩、季節を問わず飲んでいます。看護師として働いている頃も同じペースで飲んでいました。そのくせ患者さんに対して、「休肝日を作らないと駄目じゃないですかぁー」と“指導”なるものを“したり顔”でやっていました。今思えば、どの口が言うかと恥ずかしくなる思い出です。
 1日の仕事を終え、ビールを一気に飲み干しながら、「あー、私はこのビールのために働いている」と幸せを毎回毎回噛み締めてきました。しかし、楽あれば苦ありで、飲酒すると当然眠くなります。どんなに原稿や抄録の締め切りが迫っていても、習慣は変えられません。そのため、必然的に早朝に起きて、時間に追われながら文章を考え、必死にパソコンに向かっています。ある時は午前2時30分に、ある時は午前4時に目覚ましをセットして、必ず起きます。パソコンの時刻をチラチラ見ながら、一向に納得のいく構成がまとまらない、文章が頭から絞り出せない、パソコンの入力が進まない。増えない文章量に歯ぎしりしながら、「一体、いくつになったら、もう少し賢くなって、締め切り日を余裕で迎えられる生活ができるようになるんだ」とわが身の進歩のなさを嘆き悲しみます。そんな朝を何日か過ごして、ようやく成果物が出来上がります。睡眠時間は不十分でも、頭も心も空っぽになっているので、近所の公園で日課のジョギングを20分ほど行います。同じく朝の散歩を日課にしているトイプードルのやせっぽち宇宙(そら)君、フレンチブルドッグのぶさかわいい花ちゃん、名まえ負けの柴犬の辰吉と挨拶を兼ねたスキンシップを楽しめます。
 前置きが長くなりましたが、締め切り日に限らず、仕事上のプレッシャーと緊張感は、多くの看護管理者が日々経験されておられると思います。これと上手に付き合えなくなると、ストレスとなり、さらに溜め込むことで仕事の効率が悪くなり、日常生活が味気なくなります。決して自慢できない私の生活ぶりではありますが、自分を元気にする習慣を持っておくことで「ストレスに負けない」心身を維持できるということが、「あなたへのエール」です。

●Postコロナ時代に必要なデータ収集と分析
 2020年春以降、新興感染症の脅威にさらされ、いつ終わるともしれない未知のウィルスとの闘いが続いています。現場の最前線で患者さんや職員を守りながら、日々刻々と変化する医療ニーズに対応することに腐心されてこられた看護管理者の皆様には、心からの敬意を表します。また、患者さんの生命と健康を守るだけでなく、病院の安定的な運営に寄与するという責務も担っておられます。私が看護管理者の皆様にお贈りすることができるもう一つのエールは、病院経営に不可欠なデータ収集と分析、さらにWithコロナからPostコロナへと大きな転換が図られようとしている「今」に必要な看護部門の機動力発揮のための情報提供です。幸い、メディカ出版社から「ナーシングビジネス2021年秋季増刊 ヒト・モノ・カネの問題を解決!データ分析・活用入門」と「ナーシングビジネス2022年秋季増刊 看護管理者に今、求められる黒字化の視点!事例に学ぶ ポイントを押さえた収益性の高い病棟づくり」を刊行することができました。
「どげんもできん(なんとも解決しようがない)」と行き詰った時に、「どげんかせんといかん(どうにかしないといけない)」と前向きな気持ちになれると、自ずと道は開けます。
 固定概念やしがらみに囚われてしまうと、変化を恐れたり楽しむ事を忘れてしまいがちになります。自分の周囲に起こっていることを面白がって、ストレスと上手に付き合える素敵な看護管理者になっていただけたらと願っています。

宇都由美子

鹿児島大学病院 医療情報部
特任教授・部長

▼出典元 メディカファン2022年11月 あなたへのエール
~看護管理者として新型コロナウイルスとどう向き合うか~
ストレスとの上手な向き合い方
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