第4回 看護職の職務特性とキャリア(スタッフへのキャリア支援)

看護職の職務特性とキャリア

最近、私がさまざまな研修でお伝えしていることの一つに、看護職としての職務特性が看護職を苦しめているという話があります。看護職の仕事は患者のニーズからスタートするため、「相手の要求にいかに応えるか」成果になり得ることがあるからです。

医療の現場では高齢者と認知症患者が増え、ナースコールは鳴り続き、歩き回る患者への安全配慮、治療が高度・複雑化していく中で業務手順も複雑化しています。勤務時間内は一息つく間もなく、とにかく次から次へと仕事をこなし時間に追われて働いています。
とくに「相手の要求にいかに応えることができるか」が自分の価値基準になっている看護職は、患者や業務量に振り回されて仕事をしています。こんな状態が続けば、心はどんどん疲弊していきます。

看護職は「看護がしたい」と思って職業を選択しています。いろいろな理由があったとしても、仕事として看護をすることを選択し意思決定したのは自分自身です。特殊な事情がある人は別ですが、はじめから「いつかこんな仕事は辞めたい」と思っていたわけではないはずです。
仮にプライベートを優先する人生であっても、この仕事でうまく生きていけたらと無意識下に思っているはずです。ところが、実際に看護の現場で働くうちに「こんなはずではなかった」と感じるのです。

そうはいっても、指導されなくても仕事が進められるようになり、看護のやりがいや楽しさを実感できるようになってくると、自分の人生と看護職としてのキャリアの融合が感じられるようになってくるかもしれません。すると仕事を自分でコントロールできるようになってきます。それは、問題が起こる前の先手ケアが上手になってくるからです。ここまでくれば看護職のキャリアは発展性が見え始めます。
ところが、COVID-19によって看護職のキャリアは大きく変化しました。
仕事を自分でコントロールできるまでに成長したはずが、世界中を揺るがしたこの大きな脅威によって、また振り回される仕事に戻ってしまったのです。

ここ最近、一番悩ましく、大きな課題を抱えているのは主任、係長の職位にいる方々のようです。いわゆるプレイングマネジャーだからこその悩みで、息切れしているように見えます。皆さんの職場ではどうでしょうか? 管理初期キャリアのケアには、トップマネジャーのひと工夫が必要なようです。


第3回 2年目看護師のキャリア課題

濱田安岐子(はまだ・あきこ)
NPO 法人看護職キャリアサポート 代表/株式会社はたらく幸せ研究所 代表取締役

約10年間、中規模病院の看護師として勤務。看護専門学校専任教員、医療系人材派遣会社などを経て、2006年から独立し、看護職のキャリア支援を始める。2010年NPO法人看護職キャリアサポートを設立。個人へのキャリアカウンセリングのほか、セミナー講師、コンサルテーションなどを行う。

▼看護部の「人と経営」を学び、考えるオンラインサロン「看護トップリーダーサロン」

*講義動画「看護管理者がスタッフ入職時に伝えたいキャリア形成の考え方」はこちら
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