これからの日本と
看護師の新たなキャリアとは?

 前回は「私がキャリアを築く中で、多くの看護管理者の方に背中を押していただき、今がある」ということをお話ししました。今回は、私が最近相談に乗ることが多い、看護師の活躍の場の拡大について紹介します。
 私のようなキャリアはまだ目新しいからか、多くの現役看護師の方からキャリアに関するご相談をいただきます。その多くは「臨床現場で感じた社会的な課題に対して、臨床看護師以外の立場から解決していきたい」という大変前向きで志の高いものです。たとえば、糖尿病代謝内科系の病棟で働く看護師からの「栄養や食生活について病気を発症する前から関わったり、退院後の生活を無理なく送れるような関わりがしたい」というものなどがあります。ご相談の多くがとても素敵な意見で、私はそこに看護師が携わることは有意義であると感じることが多いです。
 日本における死因別死亡率では感染症の割合が下がり1)、いまや悪性新生物と生活習慣病関連疾患が多くを占めます。また、医療の提供の幅は広がり、病気とともに日常生活を送る方は今後も増えていくでしょう。きっと、病院やクリニック・在宅以外から医療や患者さんに貢献することが、これまで以上に求められるようになると想像しています。おそらく、第一線で働く看護師の中には、そのような環境変化を感じ、「看護師としての自分がもっと貢献できる場所があるのでは?」と考える方も増えていくのではないでしょうか。そして日常生活を過ごす方を支える看護師が今以上に求められるかもしれません。
 看護管理者の方には、もし「現場を離れたい」と申し出るスタッフがいたら、ぜひその理由や背景に耳を傾けていただきたいと考えます。もしかすると、皆さんが日頃指導されているがゆえに気づいた医療の課題を解決しようとしているのかもしれません。私の周りにも、臨床現場での気づきを企業から活かす仕事をする知人が多くいます。そのようなキャリアも生まれ、増えつつあることを知っていただけたらうれしく感じます。

◉◉引用参考文献
1) 厚生労働省.平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 図6.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/gaikyou30.pdf

中村実穂(なかむら・みほ)
アイリス株式会社。国立大学卒業後、聖隷浜松病院に看護師として入職。その後エムスリーキャリア株式会社で医療機関向けBtoB 事業に従事。2018 年10 月アイリス株式会社入社。現在、臨床開発マネージャーとして従事。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2020月11号
https://store.medica.co.jp/item/130212011
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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