悩みながら、 時々はずるくても
◇宮崎 和加子(一般社団法人だんだん会理事長)

 24時間365日、枕元に携帯電話をおいて布団に入る毎日です。“現場で何が起こるかわからない”“緊急対応にすぐ出動”。周囲の人から「大変ですね。休まることがないですね。自分の体を大事にしてください」とよく言われますが、その時に私はこう答えています。「ありがとう。でも“It’s my pleasure”です」と。単なる“私の楽しみ・喜び”ではなく、なんとなく心の深いところでの喜び・満足のような気がするのです。

実は30年前から
 これは、コロナ対策のためだけに行っていることではありません。5年前からです。いいえ、正確には、1992年、約30年前からです(当時、36歳)。1992年、日本で初めて看護職が独立した事業所である訪問看護ステーションを開設することができるようになりました。私は東京都第一号指定の訪問看護ステーションの立ち上げ責任者となり、ゼロからの創り上げを実施してきました。その時に、地域住民・訪問看護の利用者に24時間365日の在宅での安心な療養生活のために自主的に携帯電話(当時はポケットベル)を持つようになったのです。自主的な活動をもとに制度として保障するような政策提言などを行い、現在は全国どこでも24時間サポートのしくみがあります。

還暦から新たな挑戦
 5年前、還暦を機に八ヶ岳南麓に移住し、新たに看護関連事業を立ち上げ、現在進行形です。「一般社団法人だんだん会」という法人を立ち上げましたが、いってみれば『看護法人』です。看護職中心に介護職・リハビリ職と一緒になって地域で暮らす住民に役立つ仕事をしようというものです。
 現在実施している事業は6事業。認知症グループホーム、訪問看護、定期巡回サービス、認知症デイサービス、支援付きシェアハウス、認知症カフェなどです。
 医療ニーズの高い重度の人でも終末期のお看取りでも、在宅で最期まで暮らせるように、あるいはグループホームやシェアハウスで安心して生活できるようにするために、日々職員といっしょに奮闘しています。そのことを保障するために、それぞれの事業で24時間365日緊急コールを受け、夜中でも訪問し対応しています。私もその一部門を担当しています。医療施設ではなく介護施設、あるいは『在宅』での急変対応・看取りのためにはなくてはならない役割です。

コロナ対応
 急変や病状悪化、看取りで手一杯なところにコロナ対策という大きな仕事が降りかかってきました。入居者・利用者の発熱や他症状の対応、職員あるいはその家族の発熱や症状出現など日々緊張の連続です。
 つい先日も職員の家族が濃厚接触者になり、直前に勤務交代を余儀なくされました。また、入居者が発熱!隔離が必要か……と頭を悩ましたり、いつまで続くのだろうかと悩んだり……みんな同じ思いですね。

時々はずるく、自分を大事に……
 “It’s my pleasure”と、いつも頑張っているように見えても、私はそう立派でもなく使命感にあふれているわけでもない普通の人。時々は手抜きやふて寝をし、上手に自分をかわいがることも忘れません。
 こんな私でも、社会に、誰かに役立つことがあり、それを自分でやろうとする自分を褒めて、精一杯人生を送ろうと思っているところです。

宮崎 和加子

一般社団法人だんだん会理事長

▼出典元 メディカファン2021年2月 あなたへのエール
~看護管理者として新型コロナウイルスとどう向き合うか~
悩みながら、時々はずるくても
▼臨床看護のeラーニング CandsY Link トップページ
https://clpr.medica.co.jp/
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html

Scroll to Top