組織やチームを動かすリーダーの心得

 はじめまして。今年はオリンピック・パラリンピックイヤーということもあり昨年10 月に京都で開催された医療マネジメント学会にて講演させていただいたことがきっかけで、このコラムの執筆をお声がけいただきました。
 私は現在プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(B リーグ)」1 部に所属する大阪エヴェッサのチーム編成強化責任者、ジェネラルマネジャー(GM)として業務に従事しています。一方で株式会社ヘルステック研究所という京都大学発の健康情報系のスタートアップベンチャーの社長も兼務しております。多少なりとも医療業界に近いところにいるので、その両分野での経験が何か医療現場でのマネジメントにお役に立つのではないかと思い、お話させていただきます。
 さて、プロスポーツチームのGM とは一体どのような仕事をしているのか、なかなか想像しにくいかもしれません。選手を集めて試合をするというゲームの『サカつく』や『NBA2K』のような仕事のことを想像する方もいることでしょう。もちろん、そういった業務もありますが、そこに至るまでの、チームポリシーの構築、選手のスカウト・契約・査定、海外選手の視察、エージェントとの交渉、チーム会社経営陣への説明、選手のコンディション体制の確立、多方面との信頼構築、予算マネジメントなど、業務内容は非常に多岐にわたっています。
 そして何より、年間の公式戦60 試合をチームとして最高のパフォーマンスを維持し勝利に向けて走り続けることが大きな目標になります。そのためにはチームに所属する一人ひとりを同じ方向に導き、一丸となって進んでいくことが必要です。しかしその過程では、メンバーのけがや病気、選手間のトラブル、監督への不信感など、さまざまな不測の事態が発生します。しかしリーダーには、どのような状況であれ目標を見失わずに進んでいくという強い精神力が必要です。
 皆さんが日常的に病院やクリニックで起こるさまざまなことに対応されている中で、私の体験を思い出して共感していただいたり、悩んでいらっしゃることの解決のヒントになればうれしいです。

阿部達也(あべ・たつや)
大阪エヴェッサGM 兼 株式会社ヘルステック研究所代表取締役。京都大学在学中に関西選手権大会得点王2 回、関西選抜主将。bjリーグ専務取締役を経て2019 年からプロバスケットボールB1 の編成強化部長(GM)。医療・健康系の京大発スタートアップの代表も兼務。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2021年7月号
https://store.medica.co.jp/item/130212107
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html

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