悩んだときこそ読書 万能な「読むクスリ」

 型にはまらない新しい看護師のあり方を考え、生涯現役で働き続けることを支援する会が「me&nurse」です。私は奄美大島の出身で11人きょうだいの中で育ちました。今でいう地域共生社会が当たり前にあった時代、祖母の教えが私をこの業界へ導いたのだと思います。現在、me&nurseのほかに高齢者見守りネットワーク、通称「みま~も」の副代表として週末を中心に活動しているのは、そんな幼少期が関係していると感じます。看護師としては、出産後に勤務したホスピス病棟での経験が現在の活動に影響していると思います。今から約30年前、がん告知が当たり前ではなかった時代に、がん告知を行う病院で告知後から最期までの数カ月をサポートするのが役割でした。患者さんはこの病棟から在宅ホスピスに移行するわけですが、そこが人生の、また看護師としての生き方を考えるきっかけになりました。
 看護師として大切なことは「“自分”と“看護師”を一緒にしない」ことではないでしょうか。とかく看護師は職業意識が強く、周りに頼られることも多いため、自分の能力以上に頑張ってしまいがちです。看護師として“あるべき論”を念頭に置くのではなく、看護師にも多様性があり自分らしくいることが大切です。そして自分の方向性に悩んだとき、読書こそが万能で、「読むクスリ」になると思います。me&nurseの読書会には3つの特徴があります。
① 未読でOK:短時間でエッセンスをつかみ対話の中で理解を深めていく
② 無理なく行動につなげられる:ファシリテーターの進行により実生活に活かす方法や価値観を見いだすことができ、その日から行動に移せる
③ 全国・海外から参加可能:読書会はリアルとオンラインで数多く企画開催中。海外からの参加者もおり、多様性を感じることができる
 人生100年時代といわれる今、「まだまだ働きたい」「新しい世界を見てみたい」と考えている方は多くいらっしゃると思います。ここ数年間“コロナ最前線”で奮闘する中、不要不急の外出は自粛、仕事でも会議等はオンライン実施など、人間関係が分断されるような場面もありました。狭まった世界をもう一度広げるツールとして、すぐに始められる読書は聖域といわれる医療・介護業界のコミュニケーションメディアとなると思います。

小西ゆかり(こにし・ゆかり)
一般社団法人 me&nurse 代表理事 兼 SOMPO ケア人材担当。
第3 の学びの場(サードプレイス)と看護師が生涯現役で働き続けられる環境を提案する。2015 年より医療・介護交流を図る場での読書会を定期開催。2018 年東京証券取引所にて単独講演会を開催し初の 400 人集客。奄美大島出身。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2023月9号
https://store.medica.co.jp/item/130212309
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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