働き方改革は人間関係改革から始めよう

第2回 働き方改革は人間関係改革から始めよう(看護管理者のためのタイムマネジメント)

医師の働き方改革を進めるには、医療機関全体でタイムマネジメントを行わなければなりません。
そして、医療機関全体で働き方改革を推進するためには人間関係に注目すべきであることを前回お伝えしました。
今回はその続き、『人間関係改革』について解説していきます。

働き方改革の本当のねらいとは

そもそも『働き方改革』とは何でしょうか。また本来のねらいはどこにあるのでしょうか。
厚生労働省は次のように定義しています。

「働き方改革」は、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
 〜中略〜
働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。
(厚生労働省『働き方改革関連法に関するハンドブック〜一億総活躍社会の実現に向けて〜』(2023.02)より一部抜粋)

つまり、本来的には労働時間の制約が主目的ではなく、多様な働き方ができる環境をつくることを求められているのです。
ただし、「長時間労働」が問題となっている医師(医療機関)においては、医療の質・安全を確保して持続可能な医療提供体制を維持していくために、労働時間についての見直しが強く訴えられているのです。
整理すると、多様な働き方を働く人自らが選択できるように、医療機関も「個人にかかる負担を軽くしていきましょう」というのが大切なポイントなのです。

なぜ人間関係改革から始めるべきなのか

「チーム医療」と言われて久しいですが、これからはさらにチーム力を高めていかなければ、限られた時間でこれまで以上の医療の質を担保することはできません。
そのチーム力を高めるための潤滑油がコミュニケーションであり、人間関係なのです。

考えてみてください。信頼関係がしっかり構築されたチームで仕事を行うのと、関係がギクシャクして、うまくコミュニケーションすら取れないメンバーと仕事をするのとでは、どちらが良い医療を提供できるでしょうか。
言うまでもなく前者です。
では、どのようにして信頼関係を築けば良いのでしょうか。

「相手が信じてくれなければ私は信じない」とか「相手が私の信頼を勝ち取るべきだ」と相手任せにしていては、いつまでたっても信頼関係は築けません。
まずは自分から相手を信じましょう。

とはいえ、何の根拠もなく相手を信じるのは難しいでしょう。
まずは「信用」を積み重ねていきましょう。信用は英語でcreditです。
クレジットカードを連想していただければわかりやすいでしょう。
現金不要で買い物ができる便利なカードですが、そのカードを作る際には審査が必要です。支払えるだけの条件を持ち合わせているかどうかを見られるわけです。
つまり、信用とは「信じるに足る条件を持ち合わせているなら信じましょう」という態度です。
しかしこれが重要なのです。信じるに足る条件をお互いにクリアしながら信頼に至るよう積み上げていきましょう。

良い人間関係がもたらす5大メリット

信頼関係が築け、良い人間関係が構築されると大きな恩恵がもたらされます。
代表的なものを5つ見ていきましょう(下図参照)。

コミュニケーションが良くなり、指示命令が通りやすくなります。
また、報告・連絡・相談の質や量も高まり円滑な情報共有が図られるようになります。

悪い報告がタイムリーに上がるようになり、インシデントの防止につながります。
人間関係が良くないと悪い報告はしにくいですよね。
報告や相談が後手に回り、手遅れになるといったケースもよく聞きます。

人間関係による離職がなくなり、教育にかかるコストが削減できます。
離職の原因で最も多くのケースに絡んでいるのが人間関係でしょう。
頼れる人が一人でもいれば辞めなくて済んだという話はたくさん聞きます。
そして教育のコストは経費だけではありません。教える側の時間や労力もコストです。
無駄なコストはかけたくありませんね。

十分なチームワークが発揮され、安心して休める環境が整います。
休みたくても休めないのはストレスですし、放置しておくと心身の不調につながります。
そんな状態で働き続けても生産性は上がりません。
ひどくなってから長期休養となるのも大きなリスクです。

心理的安全性が高まり、ますます働き方改革が推進されます。
働き方改革を進めるためには、遠慮なく「こんな働き方がしたい」と話し合うことが必要不可欠です。
「上司や先輩にはわかってもらえないだろう」とか「どうせ否定されるに決まっている」と諦めさせないことが大事です。

今回は人間関係改革についてお伝えしました。
次回は「タイムマネジメントのよくある間違い」についてお話ししします。


第1回 今こそ求められるタイムマネジメントスキル
未来の人材育成戦略!~若手の「管理職になりたい!」という気持ちを育てる方法~全6回

山本武史(やまもと・たけし)
ポテンシャルビジョン代表
看護部専門組織マネジメントコーチ
米国CTI認定プロフェッショナル・コーアクテイブ・コーチ(CPCC)

200床以上の病院看護部を専門に、人間関係を理由とした離職とメンタル不調による離脱を防ぐ専門家。看護管理者のマネジメント能力を高めて「やめたくない看護部」をつくり、心理的安全性とワーク・エンゲイジメントの向上をサポートしている。

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