看護管理者が今だからこそ身につけたいテーマが2 冊にまとめられた『看護管理者が知っておきたい理論とワザ』を紹介します。
看護管理者の「かゆい所に手が届く」内容
本書は、これまで『ナーシングビジネス』に掲載された特集記事の中から、時間が経っても色あせず、これからも看護管理者の支えになるであろう記事を厳選して作成された書籍です。
看護管理者の悩みに耳を傾けてきた編集室が、これまで集積してきた数多くの記事の中から、「ここのポイントを押さえたら看護管理者の悩みを解決できるのではないか?」という視点から厳選した、まさに「かゆい所に手が届く」書籍になっています。
1巻の「調整する 対話する・伝える 思考技術」、2巻の「人を育てる モノ・情報・時間管理 組織をつくる」というタイトルからもわかるように、かなりバラエティーに富んだ内容です。
正直に言うと、書評を書くのも難しいくらい個性豊かな内容なのですが、まさにここが看護管理者のかゆい所なのだろうと推測できます。
たとえば、1巻の第2章は「交渉する」をテーマに、交渉に関する3つの心構えと基本技術を提言、そして対医師や対患者という看護管理上で必ずや遭遇するであろう交渉をどのように進めていくか、事例を使って解説しています。
また、2巻の第3章は「モノ・情報・時間の整備~管理」をテーマに、モノや情報の整理整頓の意識化、そして、ソーシャルメディアとの向き合い方をリアルに解説しています。
いずれも、今の時代の風潮に合ったテーマであり、明日の看護管理にすぐに役立つ理論とワザを提供してくれているといえます。
さらに1巻の第4章「目標面談・面接の技術」、1巻の第7章「リフレクション技術」、2巻の第8章「心理的安全性」は、看護管理者がスタッフとうまく関わるための理論とコミュニケーション技術を提言していて、看護管理者に必要なソーシャルスキルを学ぶことができます。
平易な言葉と豊富な図解でわかりやすい
私たち看護職は、基礎教育の間に看護学をしっかり学び、卒業後も目の前の患者が抱える疾病を理解しようと一所懸命に学びを続けています。
しかしながら、「人を育てる」「組織を変革する」「資源をマネジメントする」といった看護管理スキルは、臨床指導者や看護管理者になってはじめて意識化し、チャレンジすることとなります。
また、認定看護管理者教育課程や大学院で、看護管理に関連した理論や方法論を学んだものの、それをどうやって応用したらよいか迷うこともあると思います。
本書は、平易な言葉と豊富な図解で構成されていて、非常に読みやすいこともポイントです。
看護管理者になりたての方はもちろん、看護管理を今一度振り返りたい方にも、新たな理論とワザを提供してくれる書籍であるといえるでしょう。
一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長 小野田 舞(おのだ・まい)
島根県内病院で看護師として勤務後、島根大学大学院医学系研究科修士課程、首都大学東京大学院(現:東京都立大学大学院)博士後期課程修了。
看護学博士。島根大学医学部看護学科・助教、東京医科大学医学部看護学科・講師を経て、2018年より現職。
看護管理者が知っておきたい理論とワザ
ナーシングビジネス編集室 編 メディカ出版 2024年4月刊行
①調整する 対話する・伝える 思考技術
2,750 円(税込)
A5判 196頁 ISBN:978-4-8404-8478-7
②人を育てる モノ・情報・時間管理 組織をつくる
2,750 円(税込)
A5判 196頁 ISBN:978-4-8404-8479-4