SNS上のコメントを鵜呑みにしやすい若者たち

イマドキの若者解体新書:
新人を看護にコミットさせるワザ_第11回

【架空事例】

SNSで「パワハラを受けているのでは?」と言われ、真に受けるAさん

新人のAさんはおおらかな性格で、誰とでもにこやかに接するところは評価できるのですが、あまり物事を深く考えていないように見えます。
同じ失敗を繰り返してもあまり反省がないため、先輩から厳しく注意されることがあります。
先日も担当の患者さんにリハビリの時間を間違えて伝えていたため、厳しく注意されていました。
そのとき「何で私ばかり怒られなければいけないんですか。先輩も間違うことがあるじゃないですか」と反論していたのが気になりました。

次の日、看護師長に面談の申し出があり話を聞くと、「私はパワハラを受けています。何とかしてください」と言ってきました。
昨日のことだと思い、「先輩の指導はミスをなくすための適正な指導である」と説明したところ、「SNSで『パワハラを受けているのでは?』と言われました。パワハラ相談窓口に訴えます」と強い口調で言ってきました。

ワンポイント解説

イマドキの若者は、家に帰ったあと、ネットの世界に入り込んでいろいろな人の意見を聞いているようです。
例えば、SNSで「今日、患者さんにリハビリの時間を間違えて伝えたため、先輩から厳しく注意されてへこんでます」とつぶやくと、「つらかったね」とか、「明日からミスをしないようにがんばろう」といった感じで、会ったこともない人からコメントがやってきます。

コメントの中には、適切なアドバイスもあるようですが、イマドキの若者は自分にとって都合がいいアドバイスしか受け入れないようで、「誰でもミスはするのに、厳しく言われるのはパワハラじゃない?」と言われると、それを信じて自分はパワハラを受けていると思い込んでしまうことがあるようです。

OK対応例(一例)

看護師長との面談の中で、パワハラの訴え等があった場合は、「昨夜、SNSで誰かに相談してみた?」「何て言われた?」と質問し、面談を希望した経緯の把握に努めてください。
すると、「いつもフォローしてくれる人から『パワハラを受けているんじゃない? 上司に訴えたほうがいいよ』と言われたからきました」と事情が見えてきます。

まずは相談にきてくれたことをねぎらい、そのうえで、「アドバイスをくれた人はすべての事情がわかって言っているわけではなさそうだ」ということを伝え、「ミスがあった場合は誰に対しても指導する」という病院のルールを再度確認し、同時に厳しく言われてつらかった気持ちもフォローしてあげてください。
そして、ミスを減らすための方策を一緒に考えたうえで、面談を終了します。

昨今の困りごと

最近、注意されたり、指導されたりすることが嫌で、そこから逃げるために「パワハラを受けています」と訴える新人がいるようです。
この場合は、見ず知らずの人からのSNSのアドバイスを都合よく利用し、自分が被害者のように振る舞っているのです。

こうなると看護管理者としては、厳しい指導を緩めざるを得なくなるわけですが、実はこれは逆パワハラに該当する可能性が出てきています。
つまり、新人が自分の身を守るために厳しい指導者を加害者扱いして攻撃していることが見て取れれば、指導者を守る対応が必要になります。
この場合は、事前に病院の顧問弁護士等に相談し、情報共有をしておくことがお勧めです。

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【次回予定】第12回「看護師として働く上での“イマドキの目標”のつくり方」(最終回)です。お楽しみに!


役職になりたがらないゆとり・さとり世代」(イマドキの若者解体新書:新人を看護にコミットさせるワザ_第10回)

谷原 弘之(たにはら・ひろゆき)
川崎医療福祉大学医療福祉学部臨床心理学科 教授

公認心理師・臨床心理士。職場のメンタルヘルスサービスであるEAP(Employee Assistance Pro-gram:従業員支援プログラム)を実践し、病院・企業などを対象にメンタルヘルス研修、復職支援などを手掛ける。看護現場でのメンタルヘルス対策に関しても積極的に支援している。

ナーシングビジネス2025年4月号
第1特集:
イマドキの若者解体新書 新人を看護にコミットさせるワザ
メディカ出版 2025年4月発行
2,200 円(税込)
ISBN: 978-4-8404-8695-8

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