看護管理者の実践に欠かせないのがさまざまな知識・技法です。
しかし、現場では学んだ知識がそのまま活かせるわけではありません。
これまでに学んだ知識を実践に活かすためには?
『看護管理の達人に学ぶ 人と組織を育てるマネジメント術』の編著者である福岡富子氏に、同書についてお聞かせいただきました。
「なぜ、学んだ知識が実践の場で活かされないのか
看護管理者のみなさんは、質の高い看護の提供のため、また、活気にあふれた組織を作るため、日々、全力で努力をされています。
そうした努力を支える大きな柱のひとつが、書籍や研修などで学んださまざまな理論や知識です。
しかし、理論書や参考書で得た知識・技法を実践の場で試してみたところ、「どうも思ったようにいかない…」と感じることも少なくないのではないでしょうか。
その理由として挙げられるのが、看護の現場では千変万化の対応が求められるということです。
看護師も患者も、一人として同じではなく、画一的な、また一通りの対応で処理、解決できるとは限らないのです。
理論と現場の経験・スキルを融合する
本書は、そうした悩みを抱える看護管理者のみなさんに向けて編んだものとなります。
全ページにわたり、経験豊富な著者陣の経験知が言語化されています。
理論書や参考書などで得た知識を用いながら実践するなかで迷ったり、壁にぶつかったときに本書をひもといていただければ、なんらかのヒントや拠り所が見つかるはずです。
理論を意識して現場の実践を踏まえてまとめられた“知識”を、ぜひみなさんの日々の仕事で活かしていただければ幸いです。
一般社団法人集団力学研究所 福岡 富子
(本書「はじめに」より抜粋)
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目 次
序章 看護の本質を見失わない管理者に
1 私たちは現場で育てられる
2 組織文化は「現場」が創る
3 看護師長(中間管理職)が輝くために
4 時代が変わっても変わらぬものを大事にしたい
1章 どんな組織を作るのか――組織図の重要性
1 看護マネジメントの考え方
2 トップダウンとボトムアップ
3 やる気にさせる組織とは
4 目標管理の形骸化を防ぐ
5 なんのための人事異動
6 会議・委員会は人を育てる絶好の場
7 昇任・昇格の根拠
8 メンタルヘルス 心身の健康を高める手立て・工夫
2章 先を見据えた人材確保――選ばれる・選ぶ
1 なんのために仕事をするのか?
2 どんな職場が選ばれるのか
3 採用面接でのいろは
4 面接の進めかた
5 採用の基準
3 章 自分の強みを活かして組織を伸ばす
1 自分の強みを知る
2 自分の強みを伸ばすには?
3 行動する(鍛える)
4章 意欲を引き出し環境を整え、人を育てる
① 意欲を引き出す環境を整備する(On-the-Job Training)
1 新人看護師の学習(技術)の差をどのように埋めるか
2 プリセプターシップを機能させるには
3 育ちにくい看護師への対応
4 経験学習とリフレクション
5 仕事への意欲を最大限に引き出すには
6 学習意欲を高める職場環境
② 意欲を引き出す環境を整備する(Off-the-Job Training)
1 個人目標と人材育成
2 研修プログラム立案の考え方
3 研修を企画する
4 研修の管理・運営
5 研修の評価
6 研修の場と部署との共振
5章 これからの看護管理と管理者が学び続ける意味
1 患者・家族・職員のために学び続ける
2 地域包括ケアシステムが自分の課題
3 生成AI を活用する新たな時代の到来
4 Z世代とゆとり世代
5 人材の多様性