カスハラを知り自分たちの身を守る

読者の皆さん、いつも私たちの健康を守ってくださり、ありがとうございます。
筆者は『ナーシングビジネス』誌の連載「クレームが起きない! モンスター化させない! ワンランク上の患者対応術」を、2020年7月号から1年にわたり執筆しました。
連載の中では、クレームが生じたときに慌てずに対応するために必要な知識とスキルを紹介しました。
筆者はもともとストレスコントロールに関する講演や研修、執筆を活動の主としていました。
今でもストレスをスキル(技術)でマネジメントしていく“ストレスコーピング”をお伝えする機会が多いのですが、ストレスの原因となりがちな「職場でのコミュニケーション」や「寄せられるクレームへの対応力」を高める講演および研修の依頼が多く、今ではクレーム対応の専門講師と呼ばれることが多くなりました。

昨今は、クレーム対応やクレームを未然に防ぐ方法のほか、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)への対処法の依頼が増えました。
皆さんの病院でもカスハラ対策が急速に進んでいるのではないでしょうか。
厚生労働省ではカスハラの基本情報やさまざまな企業の取り組みをホームページなどで紹介しています。
無料でダウンロードできるカスハラ対策のためのリーフレットやポスターもあり、サポート体制に力を入れています。

ただ、カスハラはパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどとは違い、企業や業界で対応方法や基準が異なるため、明確な定義付けはされていません
全国に先駆け、東京都では2025 年4 月から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されました。
こちらも具体的な罰則は定められていません。
細かいことですが、厚生労働省では「カスタマーハラスメント」、東京都では「カスタマー・ハラスメント(中黒が入る)」という表記となっています。
統一されていない表記からも、まだ試行錯誤の段階のように感じます。

次回からはカスハラを受けないための方法と受けたときの対処法についてお伝えします。

田村綾子(たむら・あやこ)
株式会社オフィスティー&ティー代表取締役。国内・外資企業での人事教育業務、研修会社での事業部長を経て現職。キャリアコンサルタント、行動心理士、ストレスコーピングコーチなどの資格を有する。主な著書に『クレーム対応のプロが教える心を疲れさせない技術』(青春出版社)、メディア出演に「ドクターサロン」がある。

出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2025月7月号

ナーシングビジネスバナー
上部へスクロール