このたび、「NurseTech」シリーズ第一弾となる本書『看護師のChatGPT活用術』が、刊行されました。
業務効率化だけでなく、教育・管理・チーム運営にまで広がるAI活用の可能性を示すこの一冊は、組織的なAI推進を考えるすべての看護管理者にとって必読の書といえるでしょう。
本サイト「ツボニュース」でもお馴染み、看護の最新情報をつねにキャッチアップしている坪田康佑先生に、同書のおすすめポイントをお話しいただきました。
臨床ナースの知恵が生んだ“実践型プロンプト集”
本書の最大の魅力は、臨床現場に立つ現役の看護師の方々の知見に基づいて、実際に使えるプロンプト集が構成されている点です。
今までもChatGPT活用に関する看護師向け書籍がありましたが、現役臨床看護師が書いているわけではなかったので、紹介される活用現場が限定的でした。
本書は、看護記録、看護業務、患者対応、看護教育、そして看護管理・キャリアに至るまで、看護師の日常業務を網羅するプロンプトが紹介されているのには、本当に驚きました。
負担軽減のための “使いどころ”を精選
特に、看護記録の章(2-1 記録のプロンプト)では、看護診断やケア計画の立案、看護サマリー作成、入院診療計画書作成など、記録業務の負担軽減に直結する具体的なプロンプトが満載です。
看護業務についても、医師への報告や申し送りのテンプレート化、多職種カンファレンスの準備、さらには看護の「ひらめき術」といった、一歩進んだ活用法が紹介されています。
患者対応では、患者説明資料の基礎作成に加え、子どもにも伝わる工夫や、外国人患者さんへのスマートな対応方法など、応用的な内容もカバーされているのが非常に実践的です。
また、看護教育の分野では、単なる研修スライド作成だけでなく、異動したナースの知識やスキルのギャップを埋めるための教育計画作成など、「かゆいところに手が届く」プロンプトが多く収録されています。
気になる倫理の問題もクリアに
さらに、本書はChatGPTの利用に伴う課題や問題点、倫理的配慮についても、しっかりと説明されています。
生成AIを業務に活用する上で感じるであろう不安や疑問をクリアにしてくれる、非常に誠実な構成です。
院内でのAI推進を助ける資料も充実
また、院内勉強会に使える力試しクイズや、ChatGPTの倫理的利用ガイドライン・チェックリストなど、個人利用を超えて法人全体で生成AIの活用を進めていくための資料が充実しています。
この一冊を、組織におけるAI活用推進の教科書として活用することをおすすめします。
タイトルはChatGPT活用術ですが、DeepL、NotebookLM、Perplexityなど、ほかの生成AIツールも紹介されており、この一冊で生成AIの活用幅が格段に広がります。
多忙な現場を変えるための確かな一歩となる、看護師必携の実践書です。
一般社団法人日本男性看護師會代表理事/一般社団法人訪問看護支援協会理事 坪田 康佑
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目 次
【1章 ChatGPTを看護業務に生かす「はじめの一歩」】
〈1-1 ChatGPTの基礎知識〉
■1 ChatGPTの基礎知識
生成AIって結局なに?
■2 ChatGPTの強みと限界
すごいけど万能ではない?
■3 看護師がChatGPTを使う意義
医師でも事務でもない、“看護師だからこそ”の活用
〈1-2 プロンプト作成の基本〉
■1 プロンプト作成の基本
質問上手は使い上手! プロンプトで変わるAIとの会話術
■2 出力のカスタマイズ術
欲しい答えを“ちょうどよく”もらうには?
■3 超重要! ChatGPTを使うときの大前提
「個人情報」と「倫理」を守るということ
〈1-3 看護業務のChatGPT活用範囲〉
■1 看護業務の棚卸し
“ChatGPTに任せられるかも”を見つける
【2章 看護業務別 ChatGPT活用術&プロンプト集】
■設定紹介
〈2-1 記録のプロンプト〉
■1 看護診断、目標設定、ケア計画立案
診断からケア計画へ、看護記録マスターへの道
■2 看護サマリー作成
“ざっくりすぎ”を卒業! 伝わるサマリーの型、あります
■3 入院診療計画書の作成
医師も納得! 看護の視点で診療計画をサポート
■4 わからない医学用語の提案
その部位、プロっぽく言えますか?
■5 わかりやすい記録への訂正
ごちゃごちゃ記録をスッキリ伝わる文章に
〈2-2 業務のプロンプト〉
■1 医師への報告(SBAR使用)
“伝えたつもり”は卒業! 医師との会話をスマートに
■2 申し送りのテンプレート化
朝ドラじゃなくて“伝達”です
■3 情報収集
診療ガイドラインを武器にする
■4 多職種カンファレンス・退院支援
案内メールとスケジュール調整でカンファを制す!
■5 カンファレンス資料作成
伝わる資料でスムーズに! 看護サマリーを生かす会議資料術
■6 困っているケア方法の提案
“困った”から始まる看護のひらめき術
〈2-3 患者対応のプロンプト〉
■1 患者説明資料の作成
伝えたいこと、ちゃんと伝わってる?
■2 小児向けの説明の工夫
“子どもにもわかる”って、こんな感じ!
■3 クレーム対応文の作成
気持ちを落ち着けて、冷静に伝えるための言葉選び
■4 外国人患者対応
外国人患者もスマート対応!
〈2-4 教育・研修のプロンプト〉
■1 年間教育計画の作成
異動ナースのギャップを埋める教育計画術
■2 研修スライド作成
そのアイデア、スライドにしませんか?
■3 テスト・アンケート作成
学びっぱなしはもったいない!
〈2-5 管理業務のプロンプト〉
■1 議事録作成
“書き起こし地獄”とサヨナラ!
■2 人材配置の最適化
受け持ちの割り振りはリーダーの重大業務
〈2-6 学習・キャリア開発のプロンプト〉
■1 リフレクション
1年目も先輩も、振り返りはAIと一緒に
■2 バーチャルプリセプター
“あるある悩み”に、もう一人の自分を
■3 自己学習
悔しさを成長に変える 急変対応の自己学習
■4 コーチング
GROWモデルで夢に地図を!
【3章 ChatGPT・生成AIの応用術】
〈3-1 ChatGPTの応用〉
■1 MyGPTで業務効率化をきわめる
あなただけのアシスタントを作ろう
■2 “ナースルール”をカスタマイズ
私のAIは、口が堅い
〈3-2 そのほかの生成AI活用〉
■1 DeepLと組み合わせた翻訳活用
ChatGPTとDeepLの二度見翻訳
■2 NotebookLMで試験対策
あなただけの模擬テストを作ろう
■3 Perplexityで検索力強化
レアな場面も焦らない、検索力は看護力!
【4章 ChatGPT活用の課題と問題点】
〈4-1 ChatGPTの落とし穴と対策〉
■1 ハルシネーションとの付き合い方
ChatGPT、それ本当?
■2 誤情報との付き合い方
ChatGPTは万能じゃない!
■3 最終判断を下すのは誰か?
判断するのは看護の力
〈4-2 ChatGPT・生成AI利用時の倫理と個人情報〉
■1 倫理的配慮
“便利”の裏にあるリスク
■2 個人情報の定義、生成AIと法整備の課題
テクノロジー時代の専門職倫理とは?

看護師のChatGPT活用術
使える! 臨床ナースのプロンプト集
ChatGPTの“看護現場での使い方”をストーリー形式で学べる実践書。業務・教育・研究への活用法を現場看護師が提案・紹介する。誤情報や情報倫理もやさしく解説し、AI初心者や看護管理者研修にも最適。
京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター 准教授 和足 孝之 監修
京都大学医学部附属病院看護部 集中治療部(ICU) 看護師 瑞慶山 麻記子 著
京都大学医学部附属病院看護部 集中治療部(ICU) 副看護師長 田本 光拡 著
メディカ出版 2025年10月刊行
A5判 158頁 3,080 円(税込)
ISBN: 978-4-8404-8831-0







