看護管理サポート:メディカ出版

看護の可視化・マネジメントの可視化

看護学生の頃から、筆者の関心は「どうすれば看護の力を世の中に伝えていけるだろうか」ということでした。
そのため、看護部長就任と同時に、「看護の可視化」を看護部のテーマにすることに迷いはありませんでした。
素晴らしい看護を展開しているのに、「表面的な優しさ」とか「笑顔」でしか看護の力が評価されていない。
過小評価の原因の一つは、「看護師が自らその力を発信してこなかったから」だと伝え、就任前からあった看護を語る場に多職種に入ってもらったり、看護指標をつくったり、いろいろと仕組みを整えていきました。

それと並行して、ちまたから聞こえてくる「管理者(とくに看護部長)が何をしているのかわからない」という声に反応すべく、看護部長である筆者自身を可視化することも意識的に行いました。
日々、「やらまい勝っちゃん」というブログを書き、筆者が何を見て、何を感じているのかをオープンにしました。
そして、雑誌『看護実践の科学』(看護の科学社)にご縁をいただき、「看護管理の実学」と題し、看護部長の視点から、その月の看護部のトピックスを綴りました。
その連載は90 回ほど続きました。
さらに、毎年2 月に行う課長・係長合同研修では、その年の筆者自身の振り返りと学び、そして次年度の豊富を語りました。
日々のブログ、月々の連載、そして年々の合同研修で、「何にアンテナを張っているのか」「どのように考えているのか」「何に心が動いているのか」を表現し、自分をさらしました。
それは、自分の記録でもあり、組織としての記録でもありました。
同時に、病院外の人たちに届けるメッセージでもありました。

ヘンリー・ミンツバーグは、『マネジャーの実像』の中で、マネジメントの本質は、“計画された混沌”と“統制された無秩序”だと表しています。
それくらい、わかりにくいものです。
看護にもそういうところがあります。
だからこそ、看護もマネジメントも、「何をしているのか」「何を考えているのか」を誰にでもわかるように、自らが言語化することが大切だと思うのです。
それが、専門職の仕事であり、正しい社会的評価を受ける最短の道だと思います。

勝原裕美子(かつはら・ゆみこ)
オフィス KATSUHARA 代表。看護管理学の教員をした後、聖隷浜松病院副院長兼総看護部長。その後、オフィス KATSUHARA を開業。「~すべき」症候群にかかっている看護管理者を対象に、楽にマネジメントを行えるようになる勝原私塾を運営中。

出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2025月3月号

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