令和6年度厚生労働省看護関係予算概算要求資料からの未来予測

看護管理者は日々多くの業務に目配り・気配りが必要です。
国の施策や看護界を取り巻く状況、日々の働き方や組織づくりに関連した情報など、看護管理者が知っておきたい最新ニュースをご紹介します。

新予算から考える看護管理者への期待

2023 年9 月5 日、自民党厚生労働部会の看護問題小委員会にて、2024(令和6)年度の看護関係予算概算要求が発表されました。
看護管理者として、この予算概算要求の影響を正確に把握するため、前年度との比較が欠かせません。
今回は、最も関係がある厚生労働省の新たに計上された主要な予算項目に焦点を当てて紹介します。

①地域における特定行為実施体制推進事業
②医療の効率化に向けた領域別タスクシフト推進事業
③ 看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション促進事業
④新人看護職員等の就業継続支援事業

特に②の項目ではタスクシェアリングにも触れ、④の項目では新しいメタバース技術の活用を提案しています。
これらは看護界が世界の変化を取り入れて進化している証拠といえるでしょう。
しかし、ここでは最も予算額が大きい「③看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション促進事業」に注目してみましょう。

過去にも厚生労働省は、看護業務効率化の先進事例の周知といった間接的支援をしてきましたが、効率化の指標にばらつきが存在しました。
今回の予算では、病院への補助を通じて、費用対効果やケアの質、医療安全に関する効果検証を実施する方針が明らかになりました。
国全体で看護業務の効率化が求められている中、2024 年4 月から適用されるこの新しい予算は、新しい取り組みにチャレンジしたいものの予算の制約に悩む看護管理者に、新たに挑戦する機会をもたらすかもしれません。
この情報は把握しておく価値があります。

引用・参考文献

1) 自民党HP.看護師の確保に全力「看護師等確保基本方針」改定へ(2023年9 月6 日).https://www.jimin.jp/news/information/206571.html(2023 年10 月26 日閲覧)
2) 一般社団法人日本男性看護師会HP.厚生労働省令和6 年度看護関係予算概算要求(2023 年9 月10 日).https://nursemen.net/kourou/(2023 年10 月26 日閲覧)

坪田康佑(つぼた・こうすけ)

慶應義塾大学看護医療学部卒。Canisius College(米国ニューヨーク州)卒/MBA 取得。無医地区に診療所や訪問看護ステーションを開業し、2019 年全事業売却。国家資格として看護師・保健師・国会議員政策担当秘書など、民間資格ではメディカルコーチ・M&A アドバイザーなどを持つ。
現在は国際医療福祉大学博士課程在籍、看護師図鑑(https://cango.blog/)を運営。

▼出典元:Nursing BUSINESS 2024年1月号
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