理不尽な相手に説明は通用しない

カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)は社会問題化され、企業や自治体をはじめ、病院や介護施設などでも対策を強化するところが増えてきました。
しかし、現場ではどこからがカスハラにあたるのか判断が難しく、我慢せざるを得ないという声が多く聞かれます。
また、カスハラにあたると判断しても、その後どのような行動をとったらよいのかわからない、カスハラ行為をする相手にやめてほしいと伝えるときの言い方がわからないという相談もよく受けます。
まずは今一度、どのような行為がカスハラにあたるのか見ていきましょう。

厚生労働省が示すカスハラに該当すると考えられるものとして、身体的な攻撃(暴行、傷害)、精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損〈きそん〉、侮辱、暴言)、威圧的な言動、土下座の要求、継続的(繰り返し)、執拗な(しつこい)言動、拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)、差別的な言動、性的な言動、従業員個人への攻撃・要求が記載されています。
先日、とある大学病院でカスハラ研修を行ったときに、このような言動は医療現場ではよく見聞きするので、「これがハラスメントだとは思わなかった」という声が聞かれました。
皆さんが日常どれだけたいへんな環境に身を置かれているのかと思うと頭が下がるばかりですが、どうかカスハラに慣れないでください。
そして我慢しないでください。

カスハラ対策の第一歩として、「理不尽な相手には説明は通用しない」ということを念頭に置く必要があります。
悪質と判断した場合はしかるべき機関へ相談する体制も整えておきたいです。
ただし、理不尽な相手と判断するのは上長へ相談したあとにする、または、事前に理不尽な相手の言動を定義しておくことが欠かせません。
最終的には「わかってもらえなくても構わない」という考え方を持つことも必要です。
最も大切なことは「面倒な相手だから特別対応をして早く済ませたい」という考え方を病院内からなくすことです。

田村綾子(たむら・あやこ)
株式会社オフィスティー&ティー代表取締役。国内・外資企業での人事教育業務、研修会社での事業部長を経て現職。キャリアコンサルタント、行動心理士、ストレスコーピングコーチなどの資格を有する。主な著書に『クレーム対応のプロが教える心を疲れさせない技術』(青春出版社)、メディア出演に「ドクターサロン」がある。

出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2025月8月号

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