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看護管理者が知っておきたい育児・介護支援のポイント:第1回
はじめまして。社会保険労務士の福田憲行と申します。
私は現在、厚生労働省の中小企業育児・介護休業等推進支援事業に仕事と家庭の両立支援プランナーとして携わっています。
この事業では、企業等で働く方々の円滑な育児・介護休業の取得や介護離職の防止を図ることを目的として、セミナーの開催、個別の訪問支援、web支援などを無料で行っています1)。
私がこの事業で活動する中で、企業等の人事労務担当者から相談されることが多いのは、育児・介護休業法の法改正への対応についてです。
その背景には、近年の育児・介護休業法が頻繁に改正されていることがあると思います。
病院で働くスタッフの方々が育児休業や介護休業などの院内の両立支援制度を利用したい場合には、看護管理者の皆さんに必ず相談があるでしょう。
そのようなときに、自分に向けられた相談として適切に対応できるよう、法改正の概要と日常起こり得る相談場面への対応についてQ&A形式で解説していきます。
第1回目はまず法改正の概要として、雇用保険法等の改正点について見ていきます。
(1)出生後休業支援給付の創設(2025年4月1日施行)
子の出生直後の一定期間内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、両親(雇用保険の被保険者とその配偶者)ともに14日以上の育休を取得する場合、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額が雇用保険の被保険者に給付されます。
これにより、育児休業給付(出生時育児休業給付)と合わせて給付率80%となり、手取りでは10割相当となりました(図)。
なお、例外として配偶者が産後休業中の場合、専業主婦(夫)の場合、自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない場合、ひとり親家庭の場合などは、配偶者の育休取得がなくても給付されます。
この例外により、男性の雇用保険被保険者の場合は、子が養子でない限り、配偶者の育休取得がなくても給付されることとなります。

(2)育児時短就業給付の創設(2025年4月1日施行)
雇用保険の被保険者が2歳未満の子を養育するために短時間勤務を行う場合、短時間勤務中に支払われた賃金額の最大10%が支給されます。
ただし、短時間勤務後の賃金と給付額の合計が短時間勤務前の賃金を超えないよう、給付率が調整されます。
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次回は育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の法改正のうち、2025年4月施行の仕事と育児の両立支援に関わる部分について解説します。
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引用・参考文献
1)厚生労働省.中小企業育児・介護休業等推進支援事業ホームページ
https://ikuji-kaigo.mhlw.go.jp/(2025年12月閲覧)
2)子ども家庭庁.子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律の概要.
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001263453.pdf(2025年12月閲覧)
3)厚生労働省.育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説.
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf(2025年12月閲覧)
4)厚生労働省.2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました.
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001372778.pdf(2025年12月閲覧)
5)厚生労働省.2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設しました.
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001394846.pdf(2025年12月閲覧)

福田憲行(ふくだ・のりゆき)
サイノツノ社会保険労務士事務所 代表・社会保険労務士
1979年、栃木県宇都宮市生まれ。一般企業等で人事労務業務を約15年経験。2023年1月に社労士事務所開業。2023年5月からは厚労省の中小企業育児・介護休業等推進支援事業の仕事と家庭の両立支援プランナーとしても活動し現在に至る。
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