山あり谷あり 私の駆け出し師長時代:CASE⑥
鹿児島大学病院 副病院長兼看護部長 福田ゆかり

2025年8月に刊行した書籍『任命!看護師長』の連動企画。第一線でご活躍の方々に「駆け出し師長時代」を振り返っていただくリレー連載です。
ご自身でライフラインチャートに示しながら、“山あり谷あり”のエピソードをご紹介いただきます。

【困惑期】
私の看護師長としてのスタートは、人事交流で大学の保健学科へ助教として出向していた際、看護部長から「病院に戻り、師長昇任試験を受けてみて」と声をかけられたことがきっかけです。
本来の予定より一年早く戻り、師長1年目の配属先は看護部キャリア開発室。
私以外に副師長2名と看護師1名の人員で、看護部全体の教育を担う部署でした。
病棟とは違う責任の重さを感じ、当初は少なからず戸惑いがありました。
【少し安定】
教育担当という役割に自信を持てず、向いていないのではと思い悩むこともありました。
しかし師長2年目には、全体の流れが把握できるようになり、前向きに取り組めるようになりました。
師長昇任前の10年間は摂食・嚥下障害看護認定看護師として臨床現場や地域で活動し、臨床実践に打ち込んでいました。
そのモチベーションを「教育」に活かしていこうと切り換え、師長として自身の役割を明確にして取り組んだ時期でした。
【モヤモヤ期】
師長3年目は地域医療連携センターに異動になり、退院支援とベッドコントロールを担当しました。
副師長時代にも退院支援部門の立ち上げと拡充のために4年ほど配属されていたため、環境には馴染みがありましたが、師長としては「病院経営への貢献」というミッションが加わりました。
ベッドコントロールで診療科や経営部門との交渉でうまくいかないこともありましたが、この経験を通して交渉術を身につけることができました。
やればやるだけ「成果が見える」部署であり、徐々に楽しさを見いだすことができ、スタッフと成果を共有し、個々の力を発揮して成長できる部署であったと思います。
【転機】
看護管理者としてステップアップするために、大学院博士課程で医療システム情報学を専攻しました。
データ利活用の知識は看護管理やスタッフ教育に活かすことができ、後の病床管理AI開発へとつながりました。
【安定・次のステージへ】
師長としての5年間で病棟管理は経験していませんが、配属された部署で人材育成や組織運営に向き合い、自分なりに実践できたと感じています。
病棟の管理経験がないことをマイナスに言われることもありましたが、私にとってはハードルではなく、価値ある経験だったと言えます。
そしてその経験が、トップマネージャーを目指した今の自分につながっています。
【メッセージ】
自身の歩みに信念を持ち、ステージが変わっても謙虚な姿勢を忘れずに、看護管理者としての成長につないでください。
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福田ゆかり(ふくだ・ゆかり)
鹿児島大学病院 副病院長兼看護部長
鹿児島大学大学院保健学研究科博士前期課程修了(看護学修士)。鹿児島大学大学院医歯学総合研究科博士課程医療システム情報学(単位取得退学)。摂食・嚥下障害看護認定看護師。認定看護管理者。1992年鹿児島大学病院入職、2025年より現職。
会話で現場をつかむ:「知らない」「はじめて」「聞くしかない」から始まった(山あり谷あり 私の駆け出し師長時代:CASE⑤)
「任命! 看護師長:実務にすぐ役立つ知識・スキル・マネジメント思考」(立ち読み)






