最も大変な役を担っている管理者の方々にまず伝えたいのは、「この役職を担って奮闘している自分を褒めてほしい」ということ。たまたま部下に任せて現場を離れたときに限って重大な事象が発生する……そう感じる方も多いのではないでしょうか。ことに365 日職場から離れることができない医療界では体も気も休まることがありません。また、診療報酬をもとに経営向上を図ることや人員の配置など難題も数多くあります。施設が生き残るには、職員が一丸となって取り組むことが重要で、この引率は看護部の大きな役割です。
そんな中で組織規模に関係なく管理者が意識すべきことは何でしょうか。これは『働きやすい病院を明るく楽しく創るために(野中時代・著/文芸社)』でも書きましたが、大切なのは「現場スタッフのおかげで自分の地位が保たれていることを常に忘れないこと」と「コミュニケーションの達人を目指すこと」です。そのために自分を整えるコツとして、①笑顔で元気でいる ②ため息をつかない ③完璧でなくてよい ④挨拶と感謝は自然体で行うなどがあります。これらはリーダーのあり方であり、それにより職場の雰囲気が決まることを自覚しましょう。時には自己の失敗談を話し、肩の力を抜く。たとえば私の失敗談として、点滴スタンドと電気スタンドとを間違えて準備したことがあります。また、術後患者のポータブル撮影時に、スタッフに「起こして撮ってね」と指示したところ、スタッフは患者がウトウトしていたので、頬を刺激して目覚めさせてから胸部写真撮影介助をしました。「上体を起こして」と言わなかった私のミスの笑い話です。ここで、スタッフをサポート支援するキーワードを6つ紹介します。それは、①顔と顔との突き合わせ ②誰にでも声かけ ③承認する声かけ ④傾聴する姿勢 ⑤励ましと支援 ⑥職場を離れた気分転換です。
以上をまとめると、率先して病院全体の職員とよい人間関係を構築することと、感謝と励ましの言葉かけをすることは必須です。人は褒められ、認められると頑張れるのです。また、根回しの達人になりましょう。看護師長は経営のキーマンであり扇の要です。さらに、看護部長は院長・事務長とトライアングル仲であることを忘れてはなりません。今後も人材育成に力を入れ、忍耐強く頑張ってほしい。それが私からのエールです。
野中時代(のなか・じだい)
地方独立行政法人桑名市総合医療センター 顧問。看護師・助産師。
認定看護管理者。稲沢市民病院、常滑市民病院、名鉄病院にて看護
部長。桑名市総合医療センター理事長兼看護部長を経て現職。日本
福祉大学大学院福祉学研究科福祉マネジメント専攻修士課程修了。
滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科医療安全管理学専攻修士
課程修了。
▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2022月9号 https://store.medica.co.jp/item/130212209
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