臨床での経験を活かす
新たな看護師の活躍の場

 こんにちは、アイリス株式会社の中村です。この連載も最終回となりました。前回は過去事例を用いて、新たな看護師の活躍の場についてお伝えしました。今回はもう少し具体的に、看護師のどのような経験が別の活躍の場で活きるのかと、その職種についてご紹介したいと思います。
 実は、過去にこのテーマについて、学会発表を目的として数名の看護師にインタビューを実施しました。インタビュー対象者は3 年以上の医療機関での看護師実務経験があり、現在は企業で勤務する方々です。その方々に看護師としての臨床経験を活かせている場面をヒアリングしました。その際の発言として「看護師のときのようにチーム医療内でチームの各プロフェッショナルのハブや司令塔となった経験があることが今の仕事に非常に活きていると感じる」「テキストの医療現場に関する情報だけでなく、その現場のリアルさを知っているのは、営業先と商談をする際に活きている」などがありました1)
 ではこのような経験やスキルはどのような職種で活かされるのでしょうか。別の調査で、看護師資格を保有する人材を募集するポジションには、「医療機器営業」「医療機関コンサルティング」「カスタマーサクセス」「CRO・SMO」などが多くあるとわかりました2)。とくにカスタマーサクセスは各企業のサービス利用をサポートする役割を担いますが、最近では禁煙治療用のスマホアプリが厚生労働省より薬事承認され3)、医師が治療のためにアプリを処方する時代の到来や、肺がん患者さんの治療管理をアプリで行う4)といった、デジタルな領域の治療関連領域が増えています。これらのサービスを患者さんがうまく使えるように、企業のカスタマーサクセスの方々が日々活躍されています。この仕事を看護師資格のある方が行うと、より患者さんのアドヒアランスやコンプライアンスの向上につながるのではないかと考えます。
 このような役割は、企業で働く看護師だけでなく、今後は臨床現場の看護師にも求められる役割なのかもしれません。

◉◉引用参考文献
1)第52 回日本医学教育学会大会にて、著者が誌上発表予定 
2)第51 回日本医学教育学会大会にて、著者が講演(O-01-6)https://site.convention.co.jp/51jsme/wp/wp-content/uploads/2019/06/program.pdf 
3)https://cureapp.blogspot.com/2020/09/cureapp_4.html 
4)https://welby.jp/category/news/200630153000.html

中村実穂(なかむら・みほ)
アイリス株式会社。国立大学卒業後、聖隷浜松病院に看護師として入職。その後エムスリーキャリア株式会社で医療機関向けBtoB 事業に従事。2018 年10 月アイリス株式会社入社。現在、臨床開発マネージャーとして従事。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2020月12号
https://store.medica.co.jp/item/130212012
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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