VUCA 時代を生き抜く 医療職のための新・読書術

 読書会。「それは何?」「輪読するの?」「今さら読書なんて……」と思う方にこそ、ぜひ私たち「me&nurse」の読書会(読書術)を体験していただきたい。社会が多様化し、さまざまな変革が進む中、先行きがなかなか見えてこない今は VUCA 時代とも呼ばれる社会の変革期です。この読書会はそんな時代を生きる人の創造力を磨くことを目標の一つにしています。me&nurse では看護師の幸せを支援する活動を行っており、この読書会もその一つです。今回は読書会の詳細をお伝えする前に、「なぜ始めたのか?」という点、つまり開催に至るまでの経緯についてお話ししたいと思います。
 2011 年、私はとある介護の会社の中で、550 人の看護師に対して責任を負う管理者となりました。完璧主義であった私は介護の現場にも病院と同じく“あるべき論”を唱え、周囲とぶつかることも少なくありませんでした。そんな中で私に与えられた役割が「介護施設に勤務する看護師の離職率の低下」というものでした。その離職率は他の専門職と比較にならないほど高く、年間離職率は約 40%でした。さまざまな取り組みの結果、離職率を 18%にまで低下させるという成果は出せたものの、0%とはなりませんでした。また、取り組みの中で、仕事にやりがいを感じられず私生活でも悩みを抱えている看護師が多くいることや、資格を持ちながら看護師として働いていない潜在看護師が約70 万人(推定)もいることを知りました。それを機に私は、看護師それぞれが「やりがいを見つけ“看護師の原点と心”を再認識し、超高齢社会に向かう日本の“地域の中”で活躍してほしい。地域をデザインする役割を担ってほしい」という思いを抱くようになりました。
 そして第 1 の教育の場である OJT、第 2 の教育の場である OFF-JT に続く、第 3 の教育の場(サードプレイス)として「看護師天使の会」(2020 年に一般社団法人 me & nurse に変更)の設立へと動き出しました。同会は「定例会(2 カ月に 1 度開催)」「読書会(毎月 2 回開催)」「コネクトナース(地域で必要とされる看護師)育成のための講座」の 3 つを柱として活動を開始しました。読書会は、介護職とのコミュニケーションに悩む看護職が、対話を通して互いに学び合う、また医療と介護の交流を図れる場として活用されています。

小西ゆかり(こにし・ゆかり)
一般社団法人 me&nurse 代表理事 兼 SOMPO ケア人材担当。
第3 の学びの場(サードプレイス)と看護師が生涯現役で働き続けられる環境を提案する。2015 年より医療・介護交流を図る場での読書会を定期開催。2018 年東京証券取引所にて単独講演会を開催し初の 400 人集客。奄美大島出身。

▼出典元 Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)2023月7号
https://store.medica.co.jp/item/130212307
▼Nursing BUSINESS(ナーシングビジネス)トップページ
https://store.medica.co.jp/journal/21.html
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