スーパービジョンを効果的に実施するための姿勢

第11回 スーパービジョンを効果的に実施するための姿勢(バイスティックの7原則)

感情を受け入れて自己変容を促す

今回は、現場の熟練者がスーパーバイザー(指導・監督を行う人)としてスーパービジョン(スーパーバイザーとスーパーバイジー〈指導・監督を受ける人〉との関係における対人援助法)を効果的に実施するために踏まえるべき、バイスティックの7 原則の基本的態度について述べます。

● 受容

スーパーバイジーが誤った考え方や未成熟な見方をしているとしても、まずスーパーバイザーがスーパーバイジーの話をよく聞き、受け入れることからスーパービジョンははじまります。
その際に重要なのは、「行動した結果」を受け入れるのではなく、「スーパーバイジーがその場面でどのように思ったのか」という感情の受け入れであり、それが信頼を育てることにつながるのです。

● 自己決定

スーパーバイジーの気づきを促し、意識に変化が生じるようなスーパービジョンを行うことで、スーパーバイジーは知識や技術を自分のものにでき、専門職としての態度を変容させられるのです。
スーパーバイジーがみずから変わっていこうとするのを支えることは、スーパーバイザーとしての大切な働きであるといえます。

● 非審判的態度

批判的な態度でスーパービジョンを行うのではなく、専門職としての成長を促すためのスーパービジョンを行うことが大切です。
とくに、初期の段階ではポジティブな評価を意識して実行することが重要です。
なお、スーパーバイジーに対するネガティブな評価については、その場で直接的に行うのではなく、行動変容につなげていけるよう粘り強くかかわっていくことが求められます。

例えば、トラブルになるような報告を受けた場合には、失敗を責めるのではなく報告してくれたことを評価するのも一つの方法です。
まずは、非審判的態度を用いたかかわりによるスーパーバイジーとの援助関係の強化が重要です。
しっかりとした信頼関係が構築できれば、さまざまな課題に対して本音で話し合うことが可能となります。

● 秘密保持

スーパーバイジーとの率直な話し合いは、秘密が守られることを前提として行われなければなりません。
そのため、スーパービジョンを行う際には、話の内容がほかの従事者に漏れないよう、話し合いの場の設定など、環境面へ十分に配慮し、スーパービジョンの内容がスーパーバイジーの意に反して外に出ないようにして、信頼感を醸成することが大切です。

初出:「透析ケア」2022年28巻8号より一部改変

白木裕子(しらき・ひろこ)
株式会社フジケア取締役社長
看護師、認定ケアマネジャー
日本ケアマネジメント学会副理事長

次回は「スーパービジョンを効果的に実施するための姿勢」についてお話しします。


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